手術映像記録・配信システム「ADMENIC」導入事例
電子カルテ連携とマルチモニタリングで、手術映像の活用と医療安全を支える
JCHO中京病院様では、2025年の新棟建て替えを機に、15室となる手術室の映像管理をより高度化・一元化するため、手術室映像システムを刷新されました。新たに導入されたADMENICにより、手術映像の記録・視聴・編集に加え、電子カルテとの連携やマルチモニタリングによる手術室全体の可視化が可能になりました。導入から1年が経過した現在、現場でどのように活用されているのか、手術部、外科、臨床工学部、看護部の皆様にお話を伺いました。

林 英司先生
副院長
手術部長
臨床工学部部長
特定行為研修センター長

河原 健夫先生
外科部長
診療管理責任者

神倉様
臨床工学部
臨床工学技士長

杉村様
看護師長

佐藤様
臨床工学部
主任
ADMENICはなぜ選ばれたのか
Q. ADMENIC採用に至った決め手は何でしたか
河原先生、神倉様
院内各所の電子カルテ端末で、動画の視聴や編集ができるようになるというのが魅力的でした。加えて、所属科以外の映像は閲覧できないというプライバシーに配慮した設定ができるという点も大きかったですね。セキュリティ面がしっかりしているな、と感じました。
神倉様、佐藤様
メーカー選定にあたっては、既存システムで採用していたメーカーも含めて再検討しましたが、選定デモで実際に触れた際に違和感なく使えたことと、国内での導入シェアが高かったことも採用の安心材料になりました。事実、トラブルや問合わせが発生した際のレスポンスが早いので、非常に助かっています。

“専用端末待ち”から解放
Q. 電子カルテ端末での視聴・編集で現場はどう変わりましたか
林先生、河原先生
以前は編集できる端末が限られていたため、誰かが使用していると作業できないこともありストレスに感じていました。そのため、電子カルテ端末で視聴・編集ができるというのは魅力的でした。一方で、電子カルテと連動することには、当初かなり心配もありました。動画のような容量の大きいデータを扱うことで、電子カルテの動作が遅くならないか、動画が本当にスムーズに動くのか正直不安でした。ですが、実際には快適に動作しており、導入して非常に良かったと感じています。
どの電子カルテ端末からでも映像の視聴や編集ができるため、空いた時間を使ってその日のうちに編集し、翌日のカンファレンスですぐに活用できるようになりました。手術手技の向上にも役立ちますし、臨床に携わる医師にとって非常に便利になったと感じています。これは他の施設にもお伝えしたいポイントですね。
最も懸念していた電子カルテ端末での動作面も問題なくクリアできており、大変満足しています。


手術室を歩き回らなくても状況が分かる
Q. ライブ映像配信マルチモニターがもたらした変化はありますか
神倉様、佐藤様
手術の進行状況は多くのスタッフが確認したい情報です。複数の診療科が同時に動いている中で、他の部屋の動きもマルチ画面で見られることは非常に助かっています。医療安全の観点でも、必要な画像を残したり、手術内容を振り返ったりする場面で活用しています。
杉村様
以前は、録画がきちんとされているか、看護師が何をしているかを確認するために各部屋へ行く必要があり大変でした。今はマルチモニターで全体を確認できるため、医師が撮りたい映像と実際に録画している映像が合っているかを部屋に行かずに確認でき、電話で看護師とやり取りできるようになりました。また、誰がどこにいて、どのような作業をしているかが分かるため、次の手術準備や清掃状況の把握がしやすくなりました。さらに、スタッフの普段の看護業務の様子を踏まえたフィードバックにも役立っています。





医療安全と教育を支える 4画面同期録画の効果
Q. 実際の運用において、医療安全や教育面でどのような効果を感じていますか
河原先生、神倉様
術野映像だけでなく、生体情報や全景カメラも4画面で時間同期した状態で録画できるようになったことで、以前より医療安全面が向上したと感じています。
林先生
電子カルテ端末で安全に編集できることと、学会発表や認定医・専門医のライセンス取得に必要な画像出力のために、必要に応じて編集端末からデータを取り出せることの両方が使える点は有用だと思います。
神倉様、佐藤様
必要な映像を残しておいてほしいという依頼があった際にも、編集端末上で必要な映像をロックしたり、手術内容の振り返りに活用したりしています。
杉村様
手術室内では録画や映像切替の操作、カメラ操作がタッチパネルに集約され、分かりやすくなりました。以前は物理ボタンが多く、押し分ける必要がありましたが、今は迷うことなく操作できるようになり助かっています。




増え続ける映像データ 保存容量とバックアップ運用における現場の課題
Q. 導入効果を感じる一方で、運用面で課題になっていることはありますか
林先生
当院では診療科ごとにバックアップを取る運用も行っています。サーバーとは別にバックアップとして1年間保存し、研究で使用する際にはこちらから動画を活用しています。
ただ、長時間手術が多いため、容量がすぐにいっぱいになる点は課題です。バックアップ用の外付けHDDのストックが必要になり、費用負担も発生します。現状では半年から1年程度を目安にバックアップを残し、その期間内に必要なデータを個人で保存する運用にしています。
河原先生
すべての映像を永久に保存することは難しいため、どこまで保存するかは今後も考えていく必要があります。
保存容量の課題をどう解決するか クラウド活用への期待と懸念
Q. 容量の課題に対し、クラウドアーカイブを活用したデータ保存についてはどのようにお考えですか。
林先生
外付けHDDなどの物理媒体は、容量の面だけでなく故障のリスクもあるため、クラウドアーカイブの利便性は高いと思います。一方で、必ず出てくる議論はセキュリティの問題です。インターネット接続はクローズドの環境に比べて漏洩や外部攻撃のリスクも必然的に上がります。とはいえ、あまりにもセキュリティを厳しくしすぎると運用しにくくなる。あった方が便利なのは間違いないので、そこの利便性とセキュリティのバランスは議論を十分に重ねる必要がありますね。
河原先生
セキュリティと併せてコストも課題になると思います。利便性が高いことは確かですが、容量が多いと費用が上がるのはもちろんのこと、容量が少なくても一定の費用が継続的に発生するため、病院管理者がどのように判断し、納得できる内容かどうかが重要になると思います。
現実的には、すべてをクラウドに置き換えるのではなく、クラウドと物理媒体を併用する形になっていくのではないでしょうか。そうした考え方は、社会全体でも広がっていますし、医療現場でも、クラウドと個別のHDDを組み合わせた運用が、今後のスタンダードになっていく、あるいはそうせざるを得ないのではないかと感じています。
蓄積した手術映像を”資産”に変える AI活用への期待
Q. AIを活用した将来、例えば手術レポート作成支援や医師の技術向上支援についてどのような期待がありますか
林先生
実現すれば素晴らしい医療DXですよね。今は手術のあとに、患者さんの管理や記録のために、文字を書き、絵を描いて残すという作業を時間をかけて行っています。レポート作成支援などが実現すれば、この作業がかなり楽になり負担軽減になると思います。一方で、自分で描くからこそ復習できる面もあるので、AIに頼りすぎることで、自分で考える機会が少なくなってしまう懸念はあります。ただ人間では気づきにくい点や見落としをAIが補ってくれる可能性もあるでしょうから、ある意味人の記憶よりも正確かもしれないという面では、とても有用な支援になると思います。
単に動画を保存するだけでなく、蓄積したデータをAIで解析し、手術技術の指導や教育、重要場面の提示、医療の質向上に活かせるようになれば、映像の価値はさらに高まりますし、将来への投資のしがいがあるということになります。医療のDXはなかなか難しくて、どうしても人が関与することがあまりにも多く、十分に活用しきれないというのが現実なのですが、これはまさに医療DXの本質に近い取り組みだと感じています。実現を非常に楽しみにしています。





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